無自覚な走り屋(バイト先での過失と証拠)

私は、現在芸人を目指しながらバイトをしている。病院の中のコンビニで働いている。

バイトを始めてから1年近くなるが、今危機が訪れている。

 

話は一ヶ月前に戻る。

病院のありとあらゆる床が、黒い線で汚れているという噂を耳にした。

店内のスタッフ同士でもよく話題に上がっていた。

僕的にはとてもどうでもよかったので、聞き流していたが

ゴミを捨てに行く時など、院内を歩いていると、ありとあらゆる場所に

想像以上の黒くて太い線が横行していて、意外と気になる。

いつかの銭湯の脱衣所のテレビで流れていた、

「ユニバ裏」で捕まった走り屋達が残した、タイヤ痕を思い出した。

一度気になってからは、その線により目が行くようになった。

 

それから毎日「黒い線」を目で追うわけだが、僕は今日あることに気がついてしまった。

それは黒い線が、僕の働いているコンビニに向かっていっているということだ。

コンビニの中に黒い線があるという「意識」が今までなかったので、

なんとも思ってなかったが、店内を注目してみると、まごうことなき黒い線が、何本もあった。

嫌な予感がした。

 

線を追ってみることにした。

線は縦横無尽に動いているようで、規則性を持っていた。

「待って!行かないで!行かないで!」と思いながら線に導かれると、

僕はスタッフしか入れない事務所に立っていた。

 

ああそうか。

「走り屋」は絞られてきた。うちのスタッフであることに間違いはない。

 

俺探偵「この中に犯人はいるのです!!」

俺「ちょっと待ってください!!いくらなんでもそれは強引す」

俺探偵「では何故!?黒い線が院内から店内の事務所に集っているのですか???」

俺「いやそれは」

俺探偵「そうゆえばちょうど、一ヶ月前に黒い線ができ始めたと言いましたよね?」

俺「それとこれと何が」

俺探偵「一ヶ月前、何かコンビニ内で変わった事はありませんでしたか?」

俺「あ!!ちょうど一ヶ月前に新しくバイトさんが入ってきました!何かとミスばっかの人で、周りの人からも煙たがれていました。きっとこのバイトさんが犯」

俺探偵「どうしたんですか?いきなり早口になって。よく喋りますね落合さん。」

俺「いや、俺はただ事実を話しただけであって」

俺探偵「落合さん。足元を見て頂いてもいいですか?」

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俺「あっ。。。これは違う!!俺じゃない!!!!!」

俺探偵「その靴いつ買いました??」

俺「いやそれは」

俺探偵「ちょうど一ヶ月前じゃないんですか!!?」

俺「だからと言って俺が犯人だとは」

俺探偵「思いっきり床を蹴ってもらってもいいですか?」

俺「それとこれと何が。(キュッ)」

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俺「あああああああああああああああああああああ!!!!!」

俺探偵「あなたの靴の裏。黒い部分があるでしょ??それ素材がゴムなんですよ

黒い線の原因は、床とゴムの摩擦が起きた時に生じたものだったんです。」

俺「。。。。。。。。」

俺探偵「店内をドリフト走行していたのはあなただったのです。」

 

〜fin〜