ただの屍のようだ。
電車に乗ってスマホを見ていたら、急に画面におばあさんが出てきた。
とゆうか、おばあさん越しに僕は、スマホを覗いていた。
僕のスマホなのに、僕より先にスマホの情報をおばあさんが得ていた。
俺の前におばあさんの頭があったのでいたので、
頭の出所を見てみると、それは隣の席に座っている老婆の体から出ていた。
あ、隣の席のおばあさんが俺のスマホを覗き込んでいるんだ。
と理解し、
そのおばあさんの顔を覗き込むと、
「携帯を持っていないからどうゆうものなのかと思って。」
と2回言っていた。1回目はイヤホンをしていたから、よく分からなかった。
「ああそうなんですか。携帯持ってないんですか?」
と聞くと
「そうなの。」と答えた。
目的の駅まで着くまで話しこもうと決め、
「でも、携帯がないと不便じゃないですか?ほら何かあった時とか、手元に携帯があったら、救急車にすぐ連絡できるじゃないですか?」というと
「もう私80になるの。私以外、みんなあの世に行ってしまったから、もう何もないわ。アハハハハ」と笑っていた。
「もう80歳になるんですか?(老人が、自分の歳を自然に放り込んできた場合は、そこに触れてあげるのが鉄則)」
というと、おばあさんは「そうなのよ。」と案の定大いに喜び、
この街にずっと住んでるだの、私が若かった頃はだの、僕のリアクションを無視して話し始めた。
これから美術館に行くと勝手に話していたので、僕も話しに参加しようと
おばあさんが話している途中だが、お構いなしに
「あ!僕この前岡本太郎美術館に行きましたよ!!」と言った。
音がなくなってしまった。
僕は咄嗟に、手元のスマホで救急車を呼ぼうと思った。
電車が止まったかと思うと、
「ではまた。」とどこかに消えていってしまった。