写真で振り返る、2か月で脱サラするまでと、それからの地獄。(地獄の短期バイトプラカード持ち)

前回は無職絶頂編を書きました。

ochiainowife.hatenablog.com

 

突然訪れた地獄

無職になってから、ひたすら遊びまくった。

お金の事は考えていなかった。いつか働くから、絶対無くならないかと思っていた。

異変に気づいたのはご飯と体重。みるみるうちに激やせしていった。

社会人の頃と生活の質の比較ができる、いい写真がフォルダにあった。

同じ素材なので非常に分かりやすい。

 

これが社会人の頃のご飯。

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これが無職のご飯。

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まあこうゆうことです。

 

派遣。

流石の僕も派遣バイトに行くことにした。

明日の生活が保障できなくなってきたためだ。

普通にバイトを始めたとしても、給料が入るのは入社してから一ヶ月後。それでは遅い。働くだけ働いて、給料日にはこの世にいないかもしれない。

なので3日後には給料をもらえる派遣バイトを選んだ。

 

選んだ派遣のバイトは面接なし、現地集合のプラカード持ちのバイト。

ひたすら不動産のプラカードを8時間持つバイト。

 

忘れもしない屈辱の初プラカード持ち

初日は、二子玉川でのプラカード持ちであった。

集合場所にはおっさんが一人いた。気さくな感じで、ずっとヘラヘラしているおっさんだ。

集合場所に派遣会社の人がいるという話だったが、姿を見せず

プラカードをまず、バスに乗って不動産会社に取りに行けと言われた。

バスで20分、そこから歩いて15分のところに不動産会社はあった。

この往復のバス代は出ない。

場所が分からなかったため、少し遅刻してしまった。

おっさんは「さ、じゃプラカード持ってこよっか」と僕に言い放ち

そこから動こうとしない。

結果、僕だけが不動産会社に怒鳴り散らされた。

ちなみに二日目も、このおっさんと同じだったが、この人は肝心なところは全部俺にやらせようとした。

2日目は僕から「プラカード持ってきてもらっていいですか?」

というと

おっさんは「うん、そうしよう」

と言って、お互いその場から5分は動かなかった。結局僕が取りに行った。

 

驚きだったのは、プラカードのサイズである。木製で2メートルくらいあり、とても重かった。このプラカードを持ちながら15分歩きバス停に戻り、

運転手と二子玉川に向かうエセ貴婦人に、めちゃくちゃ嫌な顔をされながらバスに乗るのだ。

土曜日なのに、プラカード持ってスーツ着て、おっさんと二人で

道行く人全員に「可哀想」と思われている気がした。可哀想と思われるくらいなら、いっそ笑い飛ばして欲しかった。

俺とおっさんがバスに乗ると、車内の空気が一瞬重くなるのを感じた。

変な人がいきなり電車に乗ってきた時、車内全員が出すあの空気感の10分の1くらいのやつだ。その原因が自分であることにびっくりした。

 

敷地内と敷地外

二子玉川でデパート前でひたすらプラカードを持つ。

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親は良いスーツを着ろと、金がない中、高いスーツを買ってくれた。

親に会社を辞めたことは言えていない。

良いスーツでプラカードを持つことが切なくなってきた。

この時はもう精神的にかなりやられていたから、ネガティブなことしか

頭の中に浮かばなかった。

そんな中、急に土砂降りの雨が降ってきた。

おっさんは慣れた手つきで、カッパをリュックから取り出し、即着用していた。

僕のスーツがびちょびちょに濡れていった。

おっさんはびちょびちょになる俺に一言、「休憩入るわ」といってどこかに消えていった。

 

デパートの敷地には絶対に入ってはいけないと、僕は不動産に言われていた。

僕はデパートの目の前に立っていた。

急な雨だったので、僕のすぐ後ろに、二子玉川で日常をお過ごしの方達が雨宿りをしていた。

一歩でも後ろに下がれば、僕は雨に打たれず済んだのにそれをしてはいけなかった。

一歩後ろで、20人くらいの人達が雨宿りをしながら僕を見ていた。

「可哀想」

という声が聞こえて、心が折れそうになった。

「どこが可哀想なんだよ。これお金もらえてますから!!!!」と怒鳴りつけたくなった。

恥ずかしくてたまらなくて、あの日のことはもう忘れやしないだろう。

あのデパートの敷地内と敷地外の差は、雨に濡れている濡れていない、

以外のことでも、あらゆることを表していた。

 

 

帰り道

帰り道、バスの中でおっさんと話をしていた。

僕だけびしょびしょだったから、とっても寒かった。

おっさんは僕に何でこんなところで働いているのか尋ねた。

「芸人を目指していて、今はお金がない。今日食べる金がない」

と言ったら

「いいねえ!!若くて!!夢あって!!!」とその日イチバンの笑顔を見せた。

おっさんは蜜の味が好きらしい。

 

おっさんは帰り道ボソッと

「お金がない時は寝てるのがいいよ。金かかんないから」と僕にいった。

後日派遣会社の人から聞いたのだが、そのおっさんは派遣会社をクビになったらしい。

おっさん寝てんのかな。起きた方がいいぞ。

俺もおっさんも時間がないだろ