バイト先の客の話

バイト先のコンビニに、同い年(23)くらいのギャルとその子供が来た。

コンビニにあるおもちゃを欲しがった子供に

ギャルママは「買わないよ!!」と、コンビニのキャパ以上の声を出して子供を叱った。

襟足を伸ばされた子供は「クソ野郎!!」と言った。

夫婦間の口喧嘩から、学んだ言葉なのだなと察知して切なくなった。

 

それでも「欲しい」が止まらない子供に対して、ギャルママは

「メルカリで買ってあげるから!!!!!」と怒鳴り散らした。

店内で剥きだしになった生活感、「無計画」という言葉が店内を覆い尽くして

その場にいた全員が切なくなった。

 

少年は、メルカリの実績を過去に感じたことがあるらしく

おとなしくなった。

 

親子が僕のレジに並んだ。

少年は僕の顔を見た瞬間、母親からの遺伝かとても大きな声で

「ママ!!!この人偉そう!!!!!」と言った。

店員や客が一斉に僕を見た。全員が僕の「対応力」をその場ではかろうとしたのが分かった。

僕は、子供の率直さが苦手だし、その率直さが割と的を射ていることを知っている。どうしていいか分からず

「ごめんね」と言った。

子供は「ママ!!!この人偉そう!!!!!」と言い続けた。

ママは僕が困っていることに気がついたのか、

「この人本当に偉い人なのかもしれないよ。」と言った。

フォローの仕方が独特だ。

「僕は偉くなんかないよ。偉そうにしているというのは、確かに的を射ているよ」

と少年に言った。

少年は

「でもママ僕はこの人が大好きなんだ!!!」

と言った。

 

俺はこの家族が幸せになればいいと思った。