知らない酔っ払いにリュックを裂かれた話(加害者の視点になって編)

リュックを裂かれた

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昨日の帰り道、駅前でリュックを破壊されてしまった。

相手の気持ちになってしまい、ブチ切れる事が出来なかった。

今回は加害者側の目線になって「切り裂きリュック事件」を書こうと思う。

起きたことは「事実」。内心は事が起きた時に感じた加害者側の「想像」です。

以下で書かれる若者は「僕」。私は「45歳くらいの加害者」です。

昨日若者のリュックを裂いた話。

昨日は、会社の後輩(20代前半)3人を飲みに連れて行った。

非常に良い会であった。

次の日も会社があるというのに、24時近くまで飲んでしまった。

若い奴らと飲むと、私も昔を思い出してしまい

ついついはしゃいでしまった。

そろそろ終電が近いので、店を出て駅に向かった。

後輩3人はベロベロに酔っ払ってしまい、駅前の道で寝転んでしまった。

私はそれを見て笑っていた。「若さ」が羨ましいと思った。

 

後輩が寝ている横を、若者と中年男性が通り過ぎた。

綾野剛に似ているな」と私は思った。

綾野剛似の若者は、私の横で中年男性に

「お疲れさまでした」と頭を下げた。

きっと立派な仕事をしているに違いない。

 

いつになっても、後輩3人が道の真ん中で横たわったままなので、

私は自分達の会社の名前を叫んで、後輩3人に

「お前達が道で横たわっていると、会社名が汚れるぞ!!」

というジョークを飛ばそうとした。

しかし、私が言っても面白くはない。

「そうだ!!隣で信号を待っている綾野剛似の若者に言わせよう!」と私は思った。

斜め上の発想に我ながらさらに酔った。

 

私は若者に

「おい◯◯会社って叫んでくれ!!」と頼んだ。

若者は

「ええ!なんでですか?あ、一緒に会社なんですね?」

と状況をすぐに飲み込んでくれた。ノリが良さそうだ。

 

その会話を聞いた、後輩の3人が飛び起きこちらに全速力で向かって走ってきた。

そしてそのまま、若者のリュックを引き裂き(この時は気づかなかった)、そしてそのまま私ごと道に倒した。

私の上に後輩3人が重なった。若者がこちらに近づいてきた。

 

「手を貸してくれ〜〜」と私は行った。

若者は手を貸してくれたが、後輩3人が上に重なっているため中々起き上がれなかった。

「もういいよ!君は帰っていいよ。」

と若者に言った。

若者は

「帰っていいよじゃなくて、リュック裂けたんですけど。。。」

と言った。

 

 

私は酔っ払っていたこともあり「ああごめんごめん!」と受け流した。

若者は

「会社の名前とか聞いたんですけど。」

と言ってきた。

 

酔いが一瞬で冷めた。事の重大さに気づいた。

「お前らどけ。」

上に重なっている後輩を、会社の時のトーンで一喝した。

私は立ち上がり、彼に自分の名刺を渡し

「明日ここに電話をください」と言った。

 

若者は「いいです。そうゆうのは。今日はいい飲み会っぽいんで、そのまま楽しい気持ちで帰ってください。」と言ってくれた。

 

天使かと思った。

彼に「ありがとう」と告げると

「俺侍なんで、粋でありたいんで。」と訳の分からないことを言っていた。

「名前は?」と聞くと

若者は「名乗るほどのものでもないんで。」

と言っていた。若者は「これ言いたかったんですよね〜」みたいな顔をしていた。

「下の名前だけでも教えて?」と聞くと

「りょう」と教えてくれた。(以下りょう)

 

 

ひとまず、ホッとした。

リュックを引き裂いた張本人はどこかに走り去ってしまった。

 

若者と帰る駅が同じだったので、我々は信号を待っていた。

早く青になれと思っていたが、黙っているのも気まずいので、

「りょうお前のリュックやすいだろ!?」と言った。

これがまずかった。

 

りょうが新宿スワンの時の綾野剛に見えた。

信号が青になったのに、りょうは動かなかった。

私もその場を動けなかった。

りょうは

「別に会社名聞いたからって、SNSに書くとかないですからね!!」

と執拗以上に言ってきた。

その内私は、これはオブラートに包まれたりょうからの「警告」かつ「脅迫」だと気付いた。

 

私は財布を出した。

りょうの顔つきが変わったのが分かった。

私は財布から「2000円を出した。」

りょう「いやお金とかやめましょう」と言ってきた。

私が「いやいいから」というのを計2セットやった。

案の定2セット目の終わりで、彼は2000円を速攻ポケットにしまった。

 

りょうはまんべんの笑みで「こんなつもりなかった」と言った。

 

彼は機嫌を直した。

もう一度彼と信号を待ち直した。

「仕事は何をしているの?」と聞くと

「芸人を目指している」と言っていた。

私は、りょうが笑いが分かるやつだと判断し

「いやあ2000円ぽっちでごめんなあ!」と言った。

りょうは

「1000円残しましたね。」と言った。

怖かった。

 

横断歩道を渡り、駅前で最後に

「リュック2000円で買えるだろ?」

と聞いた。

 

「はい!!!」

 

 

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こんな感じのことがありました。

実際僕の気持ちは、「終電を逃せない」「後々に引き伸ばしたくない」「死ぬほど楽しみにしていた、フリースタイルダンジョン(R-指定VS歩歩)気持ちよく見たい。」とかたくさんの気持ちが横行していた。

だから名刺はもらえなかったし、実際もういいかなとか思った。

初対面の人に「キレる」ということをしたことがなかったから、出来なかったし、

雰囲気から、かなり良い飲み会であったのが分かった。

先輩を道に押し倒せるって、かなり良い上司なんだなって気がした。

上司が事の重大さに気が付いて、「血相」が変わった瞬間、

良い飲み会だったのに、急に「現実」を俺が突きつけた感じがして、自分が野暮に思えてきたりした。

サラリーマンを2ヶ月だけやったから、明日の会社の嫌さ加減とか、

今日の飲み会の夢ごごちな感じが痛いほど分かった。

あと俺のリュックを引きちぎった後輩の気持ちになったら、もう許そうとか思った。

って、「怒れない」自分に対して、いつも僕はこうやって言い訳する。

 

そしていつも時間が経過する度に腹が立ってくる。

リュックが1万円したのに、2000円しかもらえなかったこととか。

2000円があまりにも欲しすぎた情けない自分とか

大好きなラーメンが2、3回食える。って思っちゃった自分をぶっ飛ばしたい。

 

あと一番思ったのは、お金を持っていたら正当に請求できたと思う。

「現金欲しい」と思った瞬間、自分が「悪」に感じで気が進まなかった。

金がない奴は考え方が金ない奴の考え方だからダメだ。

 

貰った2000円で、ちぎれやすい安いリュック買って

またあそこの駅前フラついて、あいつらにもう一回裂かれて

次は7億くらいとる。